ヒマラヤ地域に住む山岳民族「シェルパ」
僕らはヒマラヤにいくときに、地元のシェルパと呼ばれている人たちと一緒に山に登ります。シェルパは主にヒマラヤの地域に住んでいる山岳民族です。ヒマラヤ登山の際には、シェルパに協力をしていただき、ガイドやポーターをしてもらっています。
僕も、何度かエベレストをはじめヒマラヤの山々に登っていますが、いつもシェルパのサポートがあります。
ただ、毎年のようにシェルパが遭難して亡くなるという大きな問題があります。シェルパが登山隊のサポートをしている中で起こる事故です。事故が起きた際に、外国人の遭難はニュースになりますが、サポートでいって亡くなったシェルパに関しては、報道されないんです。
親友「ナティ」の死1996年に、とある日本のトレッキング隊がネパールに入って、雪崩により、全員が亡くなってしまった悲惨な遭難事故がありました。事故が起きた際、僕は日本にいたのですが、ニュースをみると日本人のことだけしか報道されない。
ヒマラヤ登山には、シェルパのサポートがつきものですから、一緒にいたシェルパはどうなったのだろうかと不思議に感じていました。
その矢先にネパールから連絡がありました。僕の親友でナティというシェルパがいたのですが、彼がこのトレッキング隊に、ポーターとして参加していたんです。ナティの兄のデンディというシェルパから電話があり、弟のナティが日本隊とともにしていたけど連絡が取れないという。すぐにネパールの現場付近までいき、ナティを探しました。そして、雪の中で凍ったままの遺体を発見しました。このことがひとつのきっかけとなり、その後、シェルパの遭難について色々と調べました。
すると、表に出ていないだけで、実は、毎年シェルパが登山隊のサポートの中で、亡くなっており、それに対して補償がさほどないことも明らかになってきました。
シェルパ基金のふたつの目的 僕ら登山家は、シェルパのサポートがあって、はじめて山に登れるんです。
にもかかわらず、そのシェルパが亡くなったときの補償が少ない。これは非常にアンバランスだと思いました。
このような想いから「シェルパ基金」をたちあげました。基金の主な目的はふたつあります。
ひとつは、遭難したシェルパの補償です。これは、シェルパの遺児たちの教育支援という形で行っています。現在、13人の遺児がカトマンズの全寮制の学校に通っています。
もうひとつは、シェルパの遭難の現状を、基金を通じて、広く知ってもらうことです。
情報が表に出れば、シェルパを扱う登山隊の責任感の醸成につながっていければと思っています。
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